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特許に関して、企業によく見られる10の誤認識
発行日 : 2022.03.24

 

特許に関して、企業によく見られる10の誤認識

 

 

1.最も重要なのは特許出願登録?

 

多くの企業が特許事務所を通じて特許出願を進めており、中には特許登録に成功するかどうかで特許事務所の業務レベルを評価している企業も少なくない。そのため、一部の特許事務所も、登録の成功を保証し、登録に失敗した場合は返金すると約束した上で業務を進めている。特許保護範囲が広いかどうか、特許侵害に対する可視性が高いかどうか、無効となる危険性があるかどうかなどを含む特許自体の価値は、かえって軽視されがちである。

 

実際、特許の本質的価値とはその法的価値であり、訴訟及びライセンスを通じて反映される。訴訟で勝つことのできる特許こそ良い特許だと言える。特許が登録されていても権利範囲が非常に小さければ、自社の製品と技術を競合他社から守ることがほとんど不可能だったり、競合他社に核心技術をコピーされたことで起訴しても、相手は他の部分で若干の改善を行うことによって特許請求保護範囲を容易に回避することができる。

 

このような特許は価値がないだけでなく、特許権者に勘違いをさせたりする。自分は特許権を所有していると思って、更にその特許を基盤に競合他社を告訴したりもする。著者は過去2年間このような事例を数回接したが、最後は皆敗訴になってしまった。これは金銭的な浪費であり、競合他社に何の制限効果もなく。それどころか、むしろ特許が公開されることによって核心技術が露出される羽目になるのだ。

 

よって、特許出願登録にのみ集中することは間違った認識である。

 

 

 

2. 特許さえ保有すれば侵害される恐れはない?

 

多くの特許権者は、自分の製品に対して特許登録さえしておけば、製品の生産と販売においては何のリスクもないと考えているが、これは大きな間違いである。法律上、特許権者が特許権を保有すれば、第三者が特許権者の同意なしに特許を使用するのは禁止されているが、だからと言って、全てのリスクがなくなるとは限らないし、そのようは規定も存在しない。

 

したがって、特許製品の生産及び販売のためには、事前に特許リスク調査及び分析を行うことによって、特許出願日前に既に当該特許製品を包括する先行出願が存在するかどうかを確認しておく必要がある。

 

 

 

3. 特許さえ保有すれば、他人を訴えてもいい?

 

特許法についてよく知らない企業が比較的多い。特許は出願さえすれば、特に発明特許は公開さえすれば他人を告訴できると思っている。実際に数年前、深セン中級裁判所では未登録発明特許の公開文書で起訴するケースもあった。

 

法律規定によると、登録されていない特許出願には特許の権利がなく、さらに他人に対する告訴にも使うことができない。

 

もちろん、法律上、ある発明特許が公開から登録において他人の該当特許技術を使用したと見つかる場合、他人は一定の補償を要求することができると規定しているが、当該発明特許が登録された後に補償を受けることができる。もし、特許登録が拒否された場合、補償を要求する権利は認められない。

 

 

 

4. 特許出願審査期間は短ければ短いほど良い?

 

一部の出願人は、審査期間が短ければ短いほど良いと考えているが、これも間違った認識である。特許専門家は、「特許制度は天才の炎に効力を加える燃料である。特許権を取得する時期は、経済社会と企業の発展需要と一致するべきであり、企業の発展需要と3つの特許審査期間の特徴を検討した上で、どの種類の特許を出願するか、いつ出願するか、どのような措置をとって登録時間を保証するかなどを、事前に計画しなければならない。」と説明している。

 

 

 

5. 特許は「あってもよいもの」であって、「必ずなければならないもの」ではない?

 

知恵を使って快速発展を成す現代企業にとって、特許は「必須」であり、多ければ多いほど良いものだといえます。中国で特許第1人の邱則有は6000以上の特許を保有し、中空大型ビル産業を独占しており、膨大な経済的収益を得ている。

 

企業が非常に強力な特許を保有する場合、他人は簡単に訴訟を起こすことができず、訴訟があっても、最終結果は合意またはクロスライセンスで終わる。統計によると、米国では、特許訴訟の約97%が合意で終わっている。合意当時、両当事者が同等のレベルの特許を保有すれば、企業は特許交差ライセンスで協議を進めることができる。特許がなかったり、または特許が同等でない場合は、方法は一つだけ、経済的な補償を支払うことである。

 

 

 

6. 特許は独占のためのものである?

 

「特許」とは、特許権者だけが技術を実現したり、発明製品を製造できるような「独占的利益」を意味するように見えるが、このような認識は二つの間違いを招きやすいので気をつけなくてはならない。

 

まず、特許の最も根本的な目的は、技術の発展を促進することで、特許存続期間の満了後は誰でも対価を支払うことなく、特許を実現することができる。実際、ほとんどの技術文献は特許という形で存在している。

 

また、厳密にいうと、特許権者は、自分の発明の技術を具現したり、発明の製品を製造することができず、他人による具現を禁止する役割だけです。例えば、特許権者の発明が他人の発明に基づく場合、後者の発明の特許権者には、先の特許権者の許可なく発明を実現する権利がない。

 

 

 

7. デザイン特許は発明特許より劣っている?

 

実際、様々な種類の知的財産権は、様々な産業、様々な製品、及び様々な権利組合においてそれぞれ独特で重要な役割を果たしている。消費財などのような一部の場合には、デザイン特許も決定的な役割を果たしている。特にパーシャルデザイン(Partial Design)システムを備えた米国、日本、韓国などの国ではデザインの一部を保護でき、デザイン特許の影響力が非常に大きい。

 

周知の通り、アップル社は多くのデザイン特許で特許訴訟で勝訴し、高い報酬を受けている。

 

 

 

8. 技術機密は公開する必要がないので、より安全である?

 

「技術機密は公開する必要がないので、より安全なのでは」と言うが、実は技術機密は機密保持が難しい。「技術機密」は特許に対応できず、一旦他人が同じ技術を開発して特許を申請すると、技術機密に対する知識財産権がなくなり、技術や市場において弱い立場に置かれてしまう。

 

中国企業の大半は技術機密保護に大きな問題が存在し、結果的には多くの技術機密が流出しても責任を問いにくい状況にある。

 

9. 特許がある製品が良い製品だと?

 

特許を保有しているかどうかは、製品の品質を判断する主な基準ではない。

 

消費者が接する製品は一般的に最終完成品であるが、場合によっては特許は完成品の一部に対する改善事項である。例えば、液晶ディスプレイは、電源ボード、マザーボード、中央制御ボード及び液晶スクリーン部品で構成され、液晶スクリーン部品は、液晶分子層、フィルタフィルム及びバックライトを含む。各構成部品は技術的に更に細分化することができ、細分化された各部品は多くの特許を持つことができる。言い換えれば、特許は、完成品の小さな部分に対する改善だったり、部品の材料と構造を含めたり、外観設計であったりしても良いのだ。

 

また、一部の特許の効果は、工場での製造工程を簡素化したり、生産過程で排出される汚染物質を減少させただけで、社会発展に肯定的な意味を持つが、製品の性能には影響を及ぼさなかった場合もある。

 

よって、製品が実際に「良い」ものであるかどうかを知るためには、アピールする特許の長所が何であるかを理解することが第一である。

 

 

 

10. 登録されていない特許は価値がない?

 

実際、生産費、流通、販売などの分野で優位を占めている企業なら、特許権がなくても製品市場を把握することができる。未登録特許は出願過程で一般に公開され、公開された内容は特許庁の審査官によって先行技術で検索されるので、他人に特許を獲得される可能性を減らすことができる。したがって、登録されていない特許は価値がないわけではなく、少なくともこの技術は、どの競技者にも特許権を取得されないようにする効果を得ることができる。

 

 

 

出処: 知識産権進行時

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