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中国特許出願のよくある問題点
発行日 : 2022.04.13

 

1.請求項での「できる」という表現は明確な意味ではない。できるかもしれないしそうでないかもしれないため、請求の保護範囲が明確でない

 

問題点

 

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例文「合成光により、NグループのLED色座標を頂点に、合成光がN角形色の全ての色を再現できる」での「できる」は明確な意味でなく、できるかもしれないしそうでないかもしれなく、請求の保護範囲が明確ではないため、請求項1は専利法第26条第4項の規定に適合しない。

 


また、「特許審査指針」第2部分第2章3.2.2節では、「例えば」、「好ましくは」、「特に」、「必要な場合」のような表現は互いに異なる保護範囲を限定し、保護範囲を曖昧にする恐れがあるため、請求項に現れてはならないと規定している。

請求項で上位概念に上述の用語が引き出した従属概念が続く場合、出願人は必ず請求項のいずれかを維持するか、または分離して二つの請求項として限定しなければならない

 

 

2.請求項において、数学の変数が明確な概念を提示しないため、保護範囲が明確でない。

 

問題点

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請求項1の技術特徴「相対的変位」で数学の変数について明確な定義を示さず、請求項の保護範囲が明確でないため、専利法第26条第4項の規定に適合しない。請求項における全ての数学の変数は、必ず明確な意味を示さなくてはならない。

 

 

3.同様の特徴が請求項で繰り返し限定され、請求項が簡潔でない

 

問題点

 

以下のように、同じ特徴が異なる請求項で繰り返し限定されているため、請求項が簡潔でない。

 

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特許法第26条第4項では、請求項は必ず明細書を基に、特許の保護範囲を明確且つ簡潔に限定すべきだと規定している。


「特許審査指針」第2部分第2章3.2.2節では、請求範囲は簡潔であるべきだと規定しているが、これは請求項の内容だけでなく、請求項によって構成される請求範囲全体もまた簡潔でなければならないことを意味している。例えば、一つの特許出願で、保護範囲が実質的に同一種類の請求項が二つ或いはそれ以上現れてはならない。

 

 

4.請求項の図面符号の不規則的な表現 

 

問題点

 

下記の通り、1と➀など、請求項における図面符号の形式が間違っている。

 

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「専利法施行規則」第19条第4項では、請求項の技術的特徴は明細書の図面符号を引用してもいいが、但し必ず該当技術的特徴の後ろに、且つ括弧をつける形で記載して、請求項に対する理解に役立たなければならないと規定している。また、図面符号は、請求項に対する限定として解釈されてはならない。

 

5.請求書の技術用語と明細書で同じ技術特徴を示す技術用語が一致しない 

 

問題点

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上記のように請求項の技術用語「随动坐标系」は明細書で同じ技術特徴を表す技術用語と一致せず、これは「専利法施行規則」第19条第3項の規定に適合しない。


「専利法施行規則」第19条第3項では、請求範囲に使われる化学式や数学式(挿絵を除く)を含める科学技術用語は、明細書で使われる科学技術用語と一致しなければならないと規定している。

 

 

6.請求項の段階番号が連続しない

 

問題点

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上記のように、請求項の段階番号(h…i…k) が連続しない場合、審査官は出願人宛に補正通知書を出して、内容を確認し、且つ明細書内の相応部分を修正するよう求める。

  

7.従属請求項の主題名が引用した請求項の主題名と一致しない

 

問題点

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上記の問題点のように、請求項1の主題名「一种带显示灯的暖手宝」は、引用された従属請求項8の主題名「一种带安全结构的暖手宝」と一致しない。


「専利審査指針」第2部分第2章3.3.2節では、従属請求項の引用部分には、引用した請求項の番号を明示した上で、引用した請求項の主題名を改めて記載しなければならないと規定している。

 

用語参考:https://gaikoku-pat.com/cn/claim/