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中国における発明名称の作成原則、要求事項とチップ
発行日 : 2022.03.16

中国における発明名称の作成原則、要求事項とチップ


1. 五つの原則

原則1: 主題性

発明の名称は一種のコード名であり、呼称及び識別を容易にするためのものであり、唯一性を具備する必要はない。即ち、発明の名称は発明或いは実用新案の特徴を詳しく説明する必要がなく、単に発明或いは実用新案の大まかな概念を伝えるだけで良い。

発明の名称は、発明特許出願のテーマを伝えなければならず、願書の内容が何であるかを示さなくてはならない。中国の専利法では、特許の保護範囲が製品特許と方法特許との二つに定められているため、名称からどちらなのかを確認できるようにしなければならない。

 

原則2: 正確性

発明の名称は特許出願のテーマを反映するため、文法の規範に従い明瞭な言語で正確に主題の意味を表現しなければならず、理解を妨げるような曖昧で不明確な文章であってはならない。

 

原則3: 包括性

発明の名称は特許出願によって請求される全ての主題を漏れなく反映しなければならず、請求項に多数の独立項がある場合、これらの独立項の主題名は全て発明の名称に反映されなければならない。

なお、「包括性」は、請求範囲の内容に対するものであり、明細書中の技貢献の内容については、発明の名称に反映されないことがあるので注意しなければならない。

 

原則4: 簡潔さ

発明の名称は特許出願の主題を反映するように、できるだけ短い単語とセンテンスを使用しなければならず、複雑すぎると発明の名称としての意味を失うことになる。

「簡潔さ」という条件を満足するために、普通、発明の名称は25文字を超えてはならず、最大40文字まで可能である。 名称に含まれているアルファベット、数字、記号は0.5文字として発明名称の文字数に計上される。

 

原則5: 一貫性

特許出願文書の発明名称は二箇所に記載される。一つは請求書の発明名称欄で、もう一つは出願日に提出する明細書の書き出し部分である。この2カ所の記載内容は必ず同一でなければならない。

請求書と明細書の発明名称のうち、個別の文字や記号が一致しない場合、実際の内容に関係がなければ、審査官はそれを修正する権限を持つ。

 

 

2. 作成に関する基本要求事項

要求事項1. 非技術的な単語の使用は禁止

特許出願願書は技術法律文書であるため、発明の名称は人名、会社名、商標、コード名、モデル等の非技術的な単語や捏造された技術用語を含めてはならない。

例えば、「李氏マッサージ器」「L-46型電気計量器」、「コンクリートプレキャストスラブの一種(1)」等は使えない。このような場合、審査官は適切でない単語の削除を求める補正通知書を発行する。

 

要求事項2. 曖昧な単語の使用は禁止

曖昧な単語は発明名称の意味を正確に理解できなくさせ、上述した正確性の原則に反する。 単語自体が曖昧である場合、例えば「及びその類似物」の場合、何が「類似しているのか」、どれだけ「類似しているのか」を判断できない恐れがある。若しくは、単語と単語の曖昧な組み合わせによって表現が曖昧になる場合も起こりうる。

 

要求事項 3.曖昧な用語の使用は禁止

発明の名称にあやふやな用語を用いると抽象的になってしまい、名称によっていかなる有用な情報も得られなくなる。たとえば、発明の名称を「一つの装置」「一のやり方」にする場合、当該名称から特許出願の主題が何であるかさっぱり分からない。

 

 

3. 作成チップ

チップ1: 発明の名称は請求範囲に記された主題だけを反映すればよい。

発明の名称は明細書に記載された全ての主題の名称ではなく、特許出願によって保護を請求される主題の名称であり、それが特許請求の範囲に反映されるため、発明の名は請求範囲に記された主題だけを反映すればよい。特許請求の範囲に記載された内容を反映するため明細書に記載されてはいるが、保護の対象ではない内容を反映する必要はない。尚、発明の名称は請求範囲に請求された主題を漏らさず記載すべきである。

 

チップ 2: 発明名称は発明の要点をストレートに反映しない方がよい。

まず、発明の要点を含む発明名称の最も一番のデメリットは、文字数が長くなってしまいがちなところである。

次は、一般的に請求項の主題名と発明の名称は同一であるため、発明の名称に現れた発明は、請求項の記載に論理的矛盾をもたらす恐れがある。

第三に、最も重要なのは、発明の名称は特許出願に関わる関係者が真っ先に接する情報であり、発明の要点が発明名称に含まれると検索のためのキーワードとして提供されるので、審査官や競合社に逆検索される恐れがあり、出願者に不利になる恐れがある。

 

チップ 3: 必要な場合、発明名称に発明の前提、条件又は特定の目的又は適用分野を明確に示さなければならない。

この場合、メリットは少なくとも二つある。 一つは、発明名称をより正確にすること。もう一つは、場合によっては、このような前提、条件、及び適用分野が引用文献の検索範囲を制限し、進歩性を高めることができる。

 

チップ 4: 発明名称は機能や効果に関する説明を少なめに書くべきである。

発明の名称は、その効果や機能を達成するための技術的手段をとって命名することが好ましく、単に特許出願によって達成しうる技術的効果、達成された機能、遂行すべき課題等を記述することは避けるべきである。

 

チップ 5: 「非合法保護対象」の調査に「手助け」してはいけない。

特許出願時、審査官が当該特許出願を非特許保護の対象として認定することを避けるためには、明細書に技術的な観点から技術的な解決方法を具体的に記述しなければならないのは当然である。よって、発明の名称にも、一部の商業的用語や非技術的用語の使用を避けるべきである。

 

チップ 6:発明名称に一般的でない技術用語を用いってもいい。

審査官が特許出願の新規性及び進歩性について検討しようが、他人が特許文書を検索しようが、発明名称は検索要素を分析するための情報源の一つとして使われるので、発明名称に珍しい専門用語で主題を定めると本出願の新規性·進歩性を審査するための引用文献の検索が難しくなったり、本特許出願を競合会社に検索されにくくなる。

 

 

4. 特殊な状況の処理

ケース1:審査過程で欠落または不要なテーマが発見された場合の措置

OA 答弁の過程で、発明名称に記載した内容が請求範囲で請求された内容と一致しなかったり、漏れ又は追加内容がある場合、意見陳述で説明し、記載項目変更手数料を支払わず、意見陳述書明明の欄に新たな発明の名称を直接記入する。

 

ケース 2. 分割出願によって発明の名称が決定

分割出願は、原出願の請求範囲を超えてはならないため、分割出願の主題は、原出願明細書に記載された全てのテーマと同じであるか、又はそれより下段階のものにする。

分割出願は受動的分割と能動的分割に区分され、受動的分割出願の場合には分割出願の発明名称は原出願の請求範囲に記載された内容の全部又は一部を、能動的分割出願の場合には分割出願の発明名称は原出願の記載事項に記載された主題であってもいい。

 

ケース3. PCT出願の場合、発明名称における特別な要件

発明名称に求められる簡潔さのために、PCT出願案件は、発明名称を英訳した上で単語数が2~7の範囲内であるべき。

PCT出願明細書の冒頭には「発明名称」というサブタイトルを含めなければならず、PCT出願において発明名称が省略された場合、国際調査機関は次の二つの状況において自主的に発明名称を決定することができる。

 

第一に、国際調査機関が、発明名称が簡潔でない、正確でない、単語の数が上記の範囲を超えると判断した場合。

第二に、国際検索機関が、出願人が発明名称を提出すべき通知を受付官庁から受け取れなかった場合である。

 

 

 

出典:唐知识产